山梨ぶどう日記 2018

2018年の夏は山梨のぶどう畑に魅せられました。ぶどうの蔓が伸びてくる初夏から、実りの8月の終わりまでのぶどう畑のことを振り返ってみます。

5月のぶどう畑は

5月から、はじまりました。ぶどう畑のお手伝いです。 朝の8時過ぎまで寝ていたねぼすけが、毎日6時に起きてぶどう畑に通いました。朝の2時間、鳥の歌声を聴きながら、ずーーーっと空を見て作業します。

朝はとにかくきもちいい。

暑いし手や首も疲れるけど、それだけじゃなくて、 朝露とか風とか光や日陰も 鳥や虫や草の音も、ぜんぶきもちいい。

じんわり汗、首肩の疲労 ふぅと姿勢を戻す時、ぜんぶきもちいい。

まだ若いきみどり色のぶどう畑、作業は大変だけど、それはそれはきもちいいのです。

色んな朝の音の中、作業に集中するこころはしずかで、あっという間に2時間たってしまいます。

そうそう、ぶどうって花が咲くって知っていますか。こんなにぶどう畑に囲まれて暮らしてたのに私は知らなかったのです。 どんな花だろ、たのしみだなぁ。

ひたすら見極めて、選ぶ

この日は木から伸びる蔓を間引きながら、針金に誘導して留める作業をしました。

見極めて、選ぶ 選ぶ 選ぶ作業です。

どれを残すのか、どこに留めるのか判断しながら進めていくのですが、たくさん伸びる蔓を見ると、どれも残したくなります。 でも、それだと栄養が分散して美味しいぶどうにはなりません。 これ、と決めるのです。そして潔く、残りは捨てます。

思わず、大きくなっている方を残したくなります。 でも、まだ小さくても木から近い若い実を残します。 これから大きく育つのです。もう一方を捨てることで、その分の栄養がこっちに回ります。

はじめは、一生懸命伸びている蔓を折るとき迷ったりごめんって思ってたけど、だんだん思わなくなってきます。不思議です。

きっとそれは慣れたからだけじゃなくて、捨てる方も残す方も同じぶどうなんだってことが、わかってくるからなのかもしれません。

なんかうまくいえないけどそんなことを思ったりして、一本の木から大きく広がって伸びるぶどうの蔓に教えられる時間です。

農家の人ってすごいなぁ、この道具使った人やるね、これってそんな意味があったのーー?等々、発見と納得と尊敬の日々です。 色んな人が思考錯誤して、今の方法があるんだろうなぁ。ほんでまたその都度思考錯誤して、変わっていくんだろうなぁ。なにごとも、体験しないとわからないね! 大好きなぶどうができるまでの地道な作業が、とてもおもしろいです。

目って火傷するらしい

目がぁーーー目がぁぁぁぁあ!

ムスカ大佐状態です。

バイトが終わると、まず思うのは目をどこか奥の方にしまいたい。ということ。切実に、目をどこか奥の方にしまえるように進化したいですと、体にお願いしています。

大変です。夜になっても痛いのです(涙)私は目の色が薄くて茶色のせいか、日差しに弱いらしいです。ということで、サングラスを購入しました。 バイトのためにお金を使うのは本末転倒ということで、お手頃なやつホームセンターでゲット!

これで私の目は守られた。明日からサングラスかけてぶどう畑にいくよ♪

作業内容は房作りです。

出来上がりの大きさを考えて、ハサミで実を落として長さを揃えます。ぶどうの種類によって、実と実が支え合ってバランスを取れるように一番下の一粒を取り除いたりしました。

私はこれがどうなって行くのかはじめて見て行くから、わからない時は聞きながら進めています。

これからどう成長してどうなって行くのか、この夏のぶどうの様子を見て知ったら、もっとイメージできるんだろうな。

この日は朝は冷えて、半袖の上に長袖着て、さらにウインドブレーカーまで着て作業するほど。でも日差しは強烈で、風も強くて、すずしい不思議なお天気でした。

でも、暑すぎる日より作業が進みます。

ぶどうの花の正体

ぶどうの花の話です! これまで気づかなかった理由がわかりました。なんと、ぶどうの花には花びらがないのです。

時期が来ると、ぼうしのような茶色の花がらの中からおしべがひらきます。 小さなおしべひとつひとつが、可愛らしい印象です。でも、これが花って言われないと、誰もわからないかも。 つぶつぶが1つずつ受粉して、一つ一つが実になるんです!!

写真ではわかりにくいですが、もっと全部が開くと花粉が広がって白っぽく見えます。ぶどうの花はささやかで見てわかりにくいだけに、よくよく見つめると、ちっちとサリーのちっちが寝転んでいるような、投げだされたちいさな足のように見えてきます。とってもかわいいです。

6月のぶどう畑は

久しぶりの畑です。巨峰やシャインマスカットには、袋が被せられていました。 私の休んでいる間に作業が進んで、果実も成長しています。(親知らず手術のため、長らくお休みしておりました) 収穫はまだ先だそうです。

これはかいじ。大きくなってます。

この日はギュウギュウな実を、間引いて行く作業です。 小さい実や傷ついた実を取って形を整えて、花殻を取り除いていきます。はさみでパチパチと選定します。これも地道な手作業です。一つずつ目で見て触って、手間がかかっています。ぶどうって、ただ育ってきれいな形になってるんじゃないんだなぁ。

秋に向けて、ひとつひとつ大きくなりますように。美味しい葡萄になりますように。

暑いけど、ぶどうの葉っぱが日差しを遮ってくれて、気持ちいい風も吹き、流れる懐メロを聴きながら夢中になって働きました。

メルヘンな世界

7月 朝でもいよいよ暑い!でも、気持ちいいぶどう畑です。

キミドリの静けさと、ヤマバトの声 セミはまだ 夢の中 みてこのメルヘンな世界!かわいい。 通えば通うほど、ぶどう畑が好きになります。

作業内容は、袋をとってその後傘をかけてまいります。袋を取るたびに、少しずつ色づいたぶどうが出て来てくれて、ほんとうに楽しいです。可愛すぎます。ぶらんとつる下がった実は少しずつ色づき始めて黄緑と紫がこぼれそうにカラフルなんです。このすてき空間をひとり占めしてるなんて、ぜいたくだなぁ。

あとは、夏の暑さと夜の気温の差で、美味しいぶどうになることを祈るだけです。

ぶどう畑を離れて

8月 ぶどう畑を離れ、桃のパック詰めに専念している間に、ぶどうたちは色を濃ゆくさせて旅立ちの準備を済ませていました。

いよいよぶどうの収穫され始めて、今度はパックに詰めるお手伝いです。大切な贈り物をラッピングする気持ちです。 重さを測ってパックに入れて、袋やフィルムに包んで留める、夏の終わりの大切なお仕事です。

あんな小さなつぶつぶが、こんなに大きくなったんだなぁ。りっぱだなぁ。美味しそうだなぁ。

りっぱな巨峰です。味が濃くて、味わい深い!ぱくり。うんまいぶどうだなぁ。

どなたのところへ行くのでしょう。美味しく食べてもらえますように!

こちらはシャインマスカット。甘いさわやかなぶどうです。今とっても人気なぶどうです。

私は、酸味や渋みのある果物が好きなので、巨峰やかいじが好きですが、あまーいフルーツがお好きな方には、大人気なシャインマスカットです。高級品!

もうすこし涼しくなったら、かいじが採れます。

山梨から広がるしあわせ

農家さんが大切に育てた果物が、全国に届けられて行くのをみると、しあわせが広がっていくみたいでとってもうれしいです。

今年初めて畑に入り、毎日早起きをして汗をかいて、ここに書ききれないほどのたくさんの作業をしました。大変だけど、とってもたのしかったです。 私は農家さんのたくさんあるお仕事のほんの一部分、数時間のお手伝いしかしていないから、能天気なことをいってます。だけど本当に。(農家さんは朝4時起きでお休みもなく、自然やお天気をみながら毎日毎日手作業ぶどうだけじゃなくて多くの果物を育てています。ほんとうにすごいです!!)

大きな役には立てなかったけど、本当にいい経験ができました。近くにいても知らないこといっぱいです。今まで風景だった葡萄畑が大好きになりました。

猛暑や台風などの自然やお天気に左右されながらも、こうやって汗をかいて働いてくれる人がいること。厳しい環境を乗り越えて育ってくれる果物や作物があること。中には病気になったり、落ちてしまったり、小さくて出荷されないものもあること。

今こうやって食卓に並ぶものって、選ばれてきた先鋭たち。なんて尊いんだろう。パワーがすごいです。

それを口にしたら、元気にならないわけがない!

山梨のこのパワーがみんなの口から入っていって、ひとりひとりの力になったら最高です。

うれしいおまけ

果樹園の友人が、畑の作業を喜んでいる私をみて、来年も予約するからね!と言ってくれました。(来年も働きに来てね、という意味です。) どうしようかな〜なんて言いながら、私は嬉しくてたまりません。とってもステキな褒め言葉だと思いました。

来年も、夏はぶどう尽くしになりそうです。