山の輪郭と色のない空

夕焼けは見逃し、暖色の消えた薄暗い5時過ぎの、西に向かう帰り道 山の輪郭がくっきりとくっきりと浮かび上がっていてはっとする。

日が沈んだあとしばらくした空の色は、名前のつけられないような不思議な色で、決して夕暮れ時の美しさや夜の始まりの濃い青もない。太陽はもうどこにもないのにまだ西の空だけはどこか明るくみえる。雲があるわけでもないのに薄く白く濁った色のない色。暗くて明るい、言葉にならない色。

でも山が真っ暗だからこれから夜だとわかる。向こうの向こうに太陽が沈んでいったんだ、と思う。

この色の空に山がなかったら、どんな感じなんだろ。夜でも昼でもない、不思議な空色だ。

山はといえば、これが山だと知らなかったら山ってわからないくらい輪郭だけくっきりと空から切り離されて、切絵みたい。そのまま進んでいったら空のないトンネルに落ちそうなくらい黒い。 太陽を背にするとこんなに暗いんだ。あの山は夜と昼の境界線。

その全部をひっくるめて、少しこわくて、とてもきれいな一瞬だった。 これは山に囲まれたここならではの景色なのかなぁ。

今日はとんでもなくいいお天気だった。 12月って忘れちゃう。

けど、この美しい山の輪郭を見ると、

ピリリと冬だなぁと思う。