もらうこと

もらうこと

ものを受け取るということ

もらうことって、なんだろうなと思う

あげるひとがいて、もらう人がいて

あげたいと思う心があって、ありがとうと受け取る心がある

いつも、私を気にしてくださるuさんという方がいる 仕事で月に一度お会いする中でその人柄にふれ、私もとても慕っている方。 30以上年の離れた私をきっと娘のように思ってくれていて、可愛がってくれるのだ。うれしい。 いつもお花を分けてくださったり、おかずを届けてくださったり、お出かけすればお土産を買ってきてくれる。私、人にあげるのが好きなの!気にしないでね!と本当にびっくりするくらいたくさんの食材やお土産をくれるのだ。いつもuさんと会った後は両手いっぱいにお土産を持って帰ることになる。手作りの煮物、サラダ、季節の炊き込みご飯、明日のお弁当の分とお母さんの分、と分けてくれてタッパーに詰めてある。それから季節の果物、野菜、お花、苗、冷凍食品、時には下味を付けた生肉、それから花瓶まで!

私はuさんから、「受け取る」ということをたくさん経験させてもらって、それを素直に喜ぶことができるようになったんだなと思っている。

ついこの間も、朝職場に電話があり 今日のお昼休み、よかったら食べにこない?とランチのお誘いをいただいた。私はふたつ返事ではーい!と答えて、持ってきていたお昼用のおにぎりを仕事前に口に詰め込んだ。お昼はuさんのごはんを食べるのだ♪

午前の仕事が終わってuさんの家に行く その日は12月26日 ふふふ。実はわたしも今日連絡をいただく前から仕事帰りにでもuさんのお家に行こうと思っていた。

いつもサンタクロースのように周りの人に贈り物を届けているuさんに、クリスマスプレゼントを用意してあったのだ。お揃いのハンドウォーマーと星の形のチョコレート。hohoho! いつも、お礼は何にもいらないからね。と呪文のように唱えているuさんも、サンタさんからの贈り物なら喜んで受け取ってくれるかなと思って準備していた。 プレゼント、どうやって渡そうかな?ポストに入れておこうかな。どこかに隠してこようかな。そんなことを考えながらクリスマスカードを書いた。

そう、いつもわたしがどんなにお礼をしたくても、uさんはあまり喜んでくれない。いいのよいいのよ、そんなつもりじゃないのよ。困るわぁ。といって暗い顔をする。 それは、いわゆるものをもらう時のおきまりの言葉なのか、本当に困るのか、いつもわたしにはわからなかった。何かくれる度に、お礼はいらないからね!と念を押してくるuさんに甘えて素直に応じていたけど、でもわたしだって感謝の気持ちを伝えたいし、何か贈れるものがあったらあげたいな、と思う。それにもしかして、いらないからね!というそれは、ダチョウ倶楽部の押すなよ押すなよ、みたいなものかもしれない、と冗談半分時々思ったりもしてたのだ。 とどのつまり、普段から無礼なわたしもやっぱり、だいすきなuさんにはお礼をしたくなるのだ。

玄関の前にあった生協の箱の上にプレゼントを置いて、ひとまず手ぶらでおじゃましまーすした。今日は和風パスタを作ってくれるみたい。待っててねと言われ、何か手伝います!と言いたくなるのを飲み込んで、何も言わずにカウンター越しにそれを眺めたり、昼のニュースを見て過ごした。出来立てのきのこと菜の花のパスタと、アボカドのサラダと、筑前煮とスープ。あとお漬け物をふたりで一緒に食べた。おかずは昨日の残り物とのこと。そんなこと関係なくどれも美味しかった。昨日はクリスマスで人が集まったみたい。このところ忙しかったのよ、とお話を聞かせてくれた。今日やっと時間ができたから、思わず呼んじゃったの!って。

うれしい。

テレビを見て、おしゃべりして、ごはんを食べて、お土産をもらって帰る。 いいのか?ほんと甘えるばかりの私。 時々よくわからなくなる。でも、私たちは親しみを込めて、季節に一度くらいずつ一緒にごはんを食べる。

この日は、多めに作ったパスタと、お漬け物と大根と煮物と冷凍のパエリアセットとどこかのお土産のハムとそれからそれから冷凍したチキンと大根に魚が挟まって麹につけてある名前を忘れてしまったどこかの郷土料理や菜っ葉を袋に詰めてくれた。 サンタのつもりが、やっぱり今日ももらってしまった。こんなにたくさん。何もお買い物しなくてもお正月を過ごせてしまう。

あっという間にお昼休みも終わりの時間になってしまった。お礼を言って帰ろうとしたら玄関まで見送ってくれた。やさしいな。 そしたら生協の箱の上の包みにuさんが気づいてしまった。あ、なんか照れくさい。 よかったら使ってください。プレゼントです。いつもありがとうございます。と言って帰った。

えへへと途中で振り返ったらuさんは、いやだわこまるわ、とどこか暗い顔をしている。 なんでだろう。嬉しくないのかな、わたしに気を遣わせたと思ってしまうのかな。なんだろう。なんだかどこか申し訳ないような気持ちになった。

しばらく考えても答えは出ないのだけど、その日の夕方、職場にuさんが来て、何も言わずにゆずを置いていってくれた。

プレゼント、喜んでもらえたらうれしい。でも、見た感じ、あまり喜んでいないぞ。気を遣ってるだけで本当は喜んでくれてるのかな。でも、あまり嬉しそうではない気がする。なぜだろか。 そういえばこれまで何度かわたしが手土産を持って行ったり、いただいた布でバックを作ってお礼した時も、わたしの想像するより全然喜んでなかった気がする。その後、それについてふれてこない。なぜだろか。

uさんにお礼をしたいのは喜んでもらいたいから。でも、1番喜んでくれるのは、お礼するよりわたしがごはんを食べたりおみやげを持ち帰ることみたい。 もらうだけって、時々大変だ。お返ししたくなる。 でも、何もお返しせずにもらい続けることが人を喜ばすことがあるからびっくりする。

あげる人ともらう人の役割がはっきりしすぎているuさんとわたし。

ねぇ、あげるともらうはもしかしたらおんなじことなのかな。あげるももらうも、おんなじだとしたら私はこのままでいい気がしたのだ。 受け取る人がいないと与えることができなくて 与える人がいるから受け取ることができる。うーん、そゆこと?

とりあえず、uさんがわたしを呼び出してくれるとわたしはしっぽを振って喜んでいるということは間違いなく。もし、受け取ることで喜びを伝えられるのならこれからも受け取ろう。そう思う。

そしてuさんも私の「気持ち」を受け取ってくれたら、それで嬉しい。