断るのつづき

断るお話のつづき

翌朝早朝に一通のメール

お断りした転職だったが、朝起きると先方からまた立て続けにメールが来ていて驚く。内容は以前話していたお仕事の内容ではなく、今後予定している新規事業の立ち上げの方を一緒にやらないかというもの。やはり会ってお話をしたい!時間を作れますか、お茶だけでも!と熱心にお誘いをしてくださっている。

私は昨日やっとの思いで断り、肩の荷が下りた矢先のゴリ押しに少し戸惑って、1日お返事ができずにいた。

なんで、そんなに熱心に誘うのだろう。この人はどんなことを考えてるのか。私をバリバリのやり手なのかと誤解しているのではないか。でも私はそこへ転職するエネルギーが湧いてこないのだ。正直そんな気持ちでちと憂鬱になった。

1日置いてやはり心は変わらず、返事をする。

私にやることは、昨日と同じ。 自分に嘘をつかないこと。

そして 自分と人を信頼しよう。と言い聞かせてお返事をする。 昨日より具体的に、自分の考え、気持ちを丁寧にお伝えする。

すると、お返事が。 納得してくれた上で、「(momo)さんは私にはない想いをお持ちなので、今度個人的にお茶をしませんか?」続けて「月曜日にランチでお願いします!」と。

私はぶったまげてしまった。文の意味がちょっとわからなかった。どういう意味だろう!あなたこそ私にないものをたくさんお持ちですよと思った。今までのやりとりが笑えてきてしまった。想いが違う、だからランチしよう。この感じでまっすぐに、断られても断られても望みを伝えてくる様に圧倒されて、ふにゃふにゃと肩の力が抜けた。んー、なんだろう。なんだろう。ちょっとおもしろい。

普通が何かはわからないけど、私だったらこんなに断られたら諦めるし、相手の都合も考えるし、想いが違うのかと少し凹むし、こんなに言ったのにだめかぁと傷つくかもしれないし、まぁ縁がなかったのだろうとそれ以降は最低限のやりとりで終わると思う。

なのになんだこの人は、まだ片手でたりるくらいの回数しか会ったことのない私になんの情も義理もないはずなのに、そのままの熱意を伝えてくる。なんだこの人は。何がしたいんだろう?本当だ、私にはない想いをお持ちだ。とりあえず、なんだかおもしろい人だと思った。 言われた時間が都合がつかずランチ以外の時間を提案すると、ランチがいいな!と言う。え、素直か!!!笑 ここまでくると、私もつられて楽になってくる。なんだこの人!すごいな!と笑えてくる。なんだか可愛くすら思えてくる(いい意味で)

わたしは今までその方に、失礼のないように言葉を選んでいたし出来るだけ丁寧に誤解のないように、相手を否定することのないように、と考えて考えてお伝えしてきた。でも。

この人はただひたすらにまっすぐ素直。私に失礼かとか迷惑かとか嫌がられるかとか考えず(考えてくれてるかもしれないけど!)私はこう思うんですと直球ズドン。断られてもメゲるとかない。そっかー!でもさ!と続く。

くぅーー!なんというメンタルの強さ。というか無邪気さ。 もう、私は観念した。会うことにした。こちとら素っ裸で会おうじゃないか。

そして自分自身に対してもむくむく湧いてくる感情。言いたいことオブラートに包んでいい人ぶってんじゃねーよと思う。こちらももっと心をオープンにいこうよ。大人ぶってんじゃねーよ。断るなら断るで、カラリとやれよと。わたしはいちいち重たいわ!吹っ切れた。

はじめ憂鬱だったこの転職騒動、なんだ?なんか面白いことになってきた。

私はこういう性格で、自分の意思は固いのか柔らかいのかわからないけどどうしてもここにある。そして傷つくことを怖がるし、傷つけることを怖がる。争い事は避けたいし、なるべくならみんな丸く治めたい。そうすると意見の相違があるとき二択になりがちで、自分が我慢するか、身を引くか。みたいになってしまう傾向にある。それは自分を守りたいだけの弱さに見えるかもしれない。というかその通り弱さなのだ。それも認める。人に嫌われるのは怖いのだもん。だからひとりが気が楽なのだ。

でも、こうやっていろんな人に会うことで時に真逆のタイプに触れることで、そうだよ二択じゃないじゃんねって肌身で思い出す。私のくそまじめなつまんない部分がぴゃーーーっと喜ぶというか、吹っ切れるというか、

オレ、オマエ、スキ!オレ、オマエ、チガウ!デモ、オチャ、ノム、ウマイ!みたいな超絶シンプルな私が出てきて踊り出すことがある。

人との出会いは悲しい思いもしたり嬉しい思いもしたり、ほんといろんなことがある。

めんどくさくも真面目な部分のおかげでひとつ1つの出会いをいい加減にしないでいっぱい考えることができる。そして、それをひっくり返してくるまっすぐな人に触れると、謎の存在であり、え!なんなの?と思いながらもどこか喜ぶ自分を見つける。決して一人では味わえない、面白い瞬間。

私も、自分を伝える時には超絶シンプルなコミュニケーションをとってみたいなと思った。やってみてその結果、傷つくのか凹むのか、傷つけるのか、それともひっくり返してお茶飲み友達になるのか(笑)まぁどれも、それはそれでなんか素敵だな、と思った。 どうなっても、素敵だな。 自分に嘘をつかなければ、傷つくことすら痛くて泣くけど愛おしく思える。共感しあえなくて辛いけど、離れても応援しあえるのかもしれない。

そういう形の人との付き合い方を、していけますように。こわいこわい。でも素晴らしい。痛い痛い、でも尊い。 いろんな人に会って、つくづく自分を知るんだなぁ。

今までずっと断ることが苦でモヤモヤし続けていたのに、今や彼女と会うのが妙に楽しみな私なのだった。もう転職するとかしないとか、どうでもよく(笑)イノシシのようにまっすぐで、ゴムまりみたいにポンポンと戻ってくる情熱的な人を前に、どんな自分が飛び出すんだろ。それが楽しみな気持ち。

それにしても改めて、こんなにまで私に会いたいと言ってくれる人がいるだろうか。どんな理由でもとんでもなくありがたくって幸せなことで。

私の感謝の気持ちとして、まっすぐな自分でそこにあれますように。

今年は亥年です。 ゴーゴーです。